HERMONY日本のバイエル企業広報誌

BAYER

生産者へ価値あるソリューションを届ける

2018年11月、日本のバイエルのクロップサイエンス部門は、中国のドローン会社XAG Co., Ltd.(以下、XAG)と日本における独占業務提携を発表した。2社のシナジーにより生産現場でのニーズと課題に応えた的確なソリューションを提供し、日本の農業をリードすることを目指す。

今日、世界の農業は、さまざまな問題に直面している。世界人口の増加、耕地面積の拡大が見込めない環境、気候変動など、安全な食糧を将来にわたって安定的に供給するために、対応すべき課題は多い。日本も決して例外ではなく、農業を取り巻く環境は変化している。担い手の高齢化と後継者問題や農家数の減少。また、デジタル化が遅れていることも日本の農業にみられる大きな特徴だ。その一方で、近年、大規模農家の割合が大きく増加し、農業従事者ひとり当たりの耕地面積が拡大している。これからの農業はより効率化・省力化が求められ、新しいソリューションによって、生産者がより少ない労力で多くを生産することが期待されている。

そうした背景をもとに、バイエルとXAGとのコラボレーションが実現した。XAGは、農業専用のドローンを開発し、ドローン先進国の中国において圧倒的シェアを誇る企業。ドローンによる最先端の精密飛行・散布技術をもっている。一方バイエルは、豊富な農薬ポートフォリオと日本の農業に根差した知見をもっている。こうした、2社のシナジーで、“農業の最適化を目指す”新たなソリューションを提供することが可能となる。

農業に最先端ドローンを導入すると、何ができるのだろうか。XAGのドローンは、電子測量技術(RTK)と衛星位置情報(GNSS)を駆使することで、センチ単位という高精度な自動航行が可能で、指定されたピンポイントの場所での高精度薬剤散布や、果樹においては樹木の高さ・サイズに応じて飛行し、1本ごとに最適な散布ができる。また、AIによるプログラミングで無人・自動化を実現し、農作業の大きな省力化が期待される。そこで必要となってくるのが「どのような薬剤をどう散布するか」だ。クロップサイエンス部門カスタマーマーケティング本部の波田康弘は、バイエルがこのプロジェクトに参画する重要性を次のように説明する。「バイエルには長年日本で蓄積してきた経験と知見があります。作物ごとにどの薬剤をどのタイミングで、どれだけの量を使えばよいか、これからはドローンを活用して、農薬製品から散布技術までを包括的に、生産者の皆さんへ最適なソリューションとして提案できるようになります。これまで、病虫害の防除策は、広い範囲で定められる地域画一的な防除か、個人ベースの経験で、現場の状態を判断することにゆだねられてきました。これからは、センシング技術など*によるデジタル農業が進み、ドローン等で上空から入手したデータを分析し、きめ細かくオーダーメイドの“処方箋”を出すことができるのです」

* センシング:センサーを利用して物理量や音・光・圧力・温度などを計測・判断すること。ドローンに搭載されたセンサーで地表や作物の状態をデータ化する技術

今後さらに、長期的に環境負荷がかからない「サステイナブル(持続可能性)」な視点も開発において必要になってくる。適所に適量散布することができるドローンを使ったソリューションは、稲作のみならずさまざまな作物にも広がるだろう。また、農林水産省は3月にドローンの自動操縦による目視外飛行や夜間の農薬散布を可能とする「飛行マニュアル」の変更方針を決定しており、急速に規制緩和が進んでいる。「例えば夜間飛行が可能になれば、夜行性害虫の防除の向上が期待でき、また植物の気孔が開く夜間ならば、殺菌剤等の吸収効率を上げることも期待できます。作業効率という意味でも、疲れ知らずのドローンが昼夜を問わず自動航行することが可能になれば、農薬散布の作業効率は格段に上がります」。農業へのドローン導入に対する関心は高まりつつある。2社のコラボレーションには、生産者、地方自治体の果樹試験場、国の研究機関などからも反応があり、期待の大きさがうかがえる。

バイエルでは、日本でのドローンの販売、メンテナンス、操縦技術を学ぶアカデミーを展開し、将来はデジタルソリューションの開発・提案まで、一貫して行うことを目指している。また、農薬とドローンの販売をセットにして提供することは、世界でも初めての取り組みとなる。しかも、バイエルのなかでも、日本が先駆的な存在となり、革新的なプロジェクトとして推進しているのだ。「農薬やドローンの販売は、あくまでも手段のひとつです。一番の目的は、生産者の皆さんに新たなソリューションを提供することで生産者が抱える課題を解決することなのです」と波田は語る。急速な技術革新とともに、農業のデジタル化が現実味を帯びていく現在――日本の農業を牽引してきたバイエルが、新たな未来図を描いていく。

クロップサイエンス部門
カスタマーマーケティング本部
波田康弘

Bayer in Japan’s exclusive alliance with Chinese drone manufacturer XAG Co., Ltd. (XAG) aims to deliver optimized solutions for Japanese agriculture.

Japanese agriculture faces many challenges today, including an aging farming population without enough successors and delayed digital transformation. In recent years, the percentage of large-scale farmers has been increased and cultivated acreage per farmer has been expanded. This means that agriculture going forward will require greater efficiency and automation, and farmers are expected to produce more with less labor by using newer solutions.

Bayer’s partnership with XAG, announced last November, seeks to address those challenges. XAG develops agricultural drones and has a dominant share of the industry in China, an agriculture drone superpower. XAG possesses cutting-edge drone navigation and spraying technologies, while Bayer has a robust crop protection portfolio and deeply rooted expertise in Japanese agriculture. By combining the strengths of both sides, the partnership will provide innovative solutions optimized to each farmer’s needs. For example, digital analysis of aerial images and sensor data makes it possible to pinpoint which plots need spraying and apply just the right amount of crop protection with high-precision, fully automated drones. Such tailored solutions will help ensure the sustainability of Japanese agriculture.

This project represents the first case in the packaging of crop protection and drone technologies within the global Bayer organization, underscoring the initiative from Japan.